「ビジネス」の独り歩き

ビジネス書に対する違和感をやっと言語化できるようになった。

 

ビジネス書を読んだ時に抱く、

「知って得した!」という感想。

同時に起こる、

「今知ったこと、実践しなきゃ!」という焦り。

しかし、なぜか前向きな気持ちになれないのです。

やらなきゃという義務感だけが、ズキリと心を刺激するのです。

 

本を読んで何を感じるかは、自由でいいはず。

読み手の性格や価値観、今まで見てきたものが十人十色なのだから、それは当然。

 

しかし、ビジネス書は、読み手が誰であれ、同じゴールに向かわせようとする。

読み手がどれくらい「ビジネス」に重きを置いているのか、どんな仕事をどれだけの誇りを持ってやっているのか、真面目な人なのか陽気な人なのか、お金にどれほど執着しているのか、知りもせず。

 

私は、ロボットではない。

私は、著者ほど効率的ではないかもしれないけれど、悩んだり迷ったりする時間も含めて、幸せな毎日を送っている。

大抵の本は、その本に対して真剣に向き合おうとすればするほど、心を豊かにしてくれる。だがビジネス書は、その逆なのだ。不安な読み手を煽るような文章が、時にバカバカしく思えてくるのだ。

 

「ビジネス書」を一括りで語ってしまったが、

その全てを否定しているわけではない。

学べるところはたくさんあるし、謙虚な書き方をしている著者も多くいる。いい意味でハッとさせられることは本当にたくさんある。

ただ、ビジネス書だけに重きを置くのはとても危険だということ。そして、著者やカリスマ的リーダーの生き方をなぞることが、必ずしも全ての人の幸福につながるわけではないだろう、ということ。

 

非効率的で、非生産的で、遠回りで、優秀ではない、賢くはない生き方を、私は今後も能動的に選び取っていくだろう。

それらこそが私にとって、人生の醍醐味なのだから。