Valentine

この週末は、私の部屋で夫と寝泊まりする、最後の週末でした。

 

この1年間、彼は片道2時間もかけて会いに来てくれました。

昼間は、仕事の忙しい私の代わりに、料理、掃除、洗濯をしてくれて、夜になると、狭いシングルベッドで私を抱きしめながら寝かしつけてくれて。彼が長い時間かけて会いに来てくれるからと言って、私も特別にもてなせるわけでもなく。いつもそんな素朴な週末でした。

そういう日常の合間に、ふらっと外に出て、近くの公園を散歩したり、美味しいご飯を食べに行ったり、新しいお酒やおつまみを探しつつ映画を借りたりして、彩りを加えてきました。

 

昨日の午前中は、部屋から駅まで徒歩4分の道のりを、ぐるぐるぐるぐる遠回りして、ぎゅぎゅっと詰まった思い出たちに浸りました。

あのお店、最初の頃行ってたね。

ここでお花買ってたな。

あの道、最近通ってなかったね。

ここいつも風が強いんだよね。

あ、おいしかった珈琲屋さん。

なんて言葉を交わしながら。

 

その後は少し電車に乗って、とあるフレンチレストランへ。

バレンタインだからと予約したフレンチでしたが、

次の週末に引っ越しを控えている私たちにとっては、「結婚準備ほんとに頑張ったね」とお互いを労うご飯になりました。

 

新居選び、車選び、口座作り、水道ガス電気の契約、などなど、ポジティブに楽しみながらやってきたけれども、仕事も日々の暮らしもある中での結婚準備は、やっぱりちょっと大変でした。

美味しいご飯を食べながら「おつかれさま」を言い合って、「これから先もひと息つく時間を大切にしようね」と約束をして。たったの2時間ですが、本当に素敵なひとときになりました。

私たちにとってのバレンタインは、「何かをあげる」のではなく「一緒に楽しむ」がしっくりくるな、と思いました。

 

そのまま夫とはバイバイをして、彼は再び長い時間をかけて寮へ。私もまた、一人暮らしの部屋へと来た道をそのまま戻りました。

日曜日の夕方。

この1年間、日曜日の夕方になると、彼が帰ってしまった寂しさと、明日から始まる仕事への気怠さで、家に帰っても何にも捗らなかったのに。

昨日の夕方だけは、何の未練も無くなって、テキパキと引越し準備を進める私がいました。

 

今となってはがらんとした部屋。

あと数日生きるのに必要なものだけが出してあります。

5年前、1年間の中国留学も終わりに近づき、荷造りをしながら感じた清々しさ。それと全く同じ感覚です。

暮らしが大きく変わるって、いいもんです。

 

甘いものにはこだらなかったけど、

今までで一番思い出深いバレンタイン。

これから毎年2月になると思い出すのかな。