産声のそのあとに

出産しました。

ちゃんと泣いてくれて、

ちゃんと指が5本ずつあって、

まつ毛も、爪も、ちゃんとある。

産まれた直後から、強い力で母乳を吸える。

3kgという重さの中に、みんな詰まっているから、すごいです。

 

胎児は、狭い産道を上手に回転させながら、

頭をなるべく小さくして、顎を引いて、出てくるそうです。

お産の時、娘は早い段階から子宮のかなり下の方に降りてきてくれていて、あとはほぼ私の子宮口の開きを待つだけのお産でした。

どこで産まれ方を覚えるのか、

私の子宮口はいつ、開くことを身につけたのか、

人の身体は不思議なものです。

 

産院には新生児が他にもいます。

みんな、お腹の外に出て肺呼吸をして、よく泣きよく飲みよく排泄をして、生きています。

 

今日は退院日です。

あと2時間で、娘は外の世界へ出ます。

私は既に、抱っこ、授乳、オムツ替え、ミルクができるようになりました。

出産前はお産のことでいっぱいいっぱいだったのに、今は、私1人でもある程度は娘の生命を繋いであげられるようになりました。

 

ここに来るまで、助産師さんは「出産を手伝う人」だと思っていました。

が、産まれる前の陣痛中、出産時、そして出産後、ずっと助産師さんが変わる変わる寄り添ってくれました。

私が産んだ産院は、産後の指導がとっっても丁寧です。

 

出産を終えた女性は、途端に子宮が収縮します。

1ヶ月くらいはダラダラ生理のように出血します。

妊娠中に出ていたホルモンが出産後のものに切り替わり、母乳を出せるようになります。

そして、身体の変化だけでなく、赤ちゃんとの不慣れな一歩もスタートします。

これだけ多くの変化があるから、産後は精神的に不安定になりやすいです。

 

産む場所を決める時、意外と大切なのは、お産よりもその後かもしれない。と、今思います。

母乳をあげる時の絶妙な角度や、

胸が張った時の対処法、

赤ちゃんが泣き止まない時に試してみると良いこと、など。

 

今日まで、育児書に書くほどでもないちょっとしたノウハウも含め、助産師さんが丁寧に教えてくれました。

ネットになんでも情報が転がっている時代ですが

どの情報を信じたら良いか、わからなくなってしまうもの。

直接人から教われることは、産後のママの心を救います。

 

そして、助産師さんは皆、事あるごとに、娘のことを「かわいい〜」と言ってくれます。

とても愛おしそうに、大事そうに。

出産の報告をした友人からも「かわいい」の言葉をたくさんもらえました。

 

この「かわいい」も、親の心を救います。

うちの子のかわいさ分かってくれてるわ、みたいな親バカな理由ではなく笑、

新たな生命は、

戦禍にあっても、

「ふつう」じゃなくても、

元は望まれなかった場合でも、

みな等しく、大人から愛され、育つべきものと強く思うからです。

 

娘が生命になる前に、勝手に赤ちゃんを望み、勝手にその誕生を楽しみにしていた大人の1人として、

たまたま授かった宝物が、なるべく多くの人に支えられ、おおらかな環境で、幸せに育っていくことを強く願っています。

その責任を感じています。

 

退院すると、助産師さんもそばにはおらず

これから先、不慣れなことが多々出てくることと思います。

それでも、

娘には、産まれてきてくれてありがとう、を

周囲の大人には、支えてくれてありがとう、を

常に心にもって、

常に心にもてるくらい、周りにたくさん頼って

母としての毎日を楽しみたいと思います。

 

今日の退院をもって、夫とも久しぶりの再会です。

この2週間は、娘の出産と、30分の面会の時しか会えなかったので

育児の合間に顔を見ながらお話しできるのが楽しみです。

 

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