親というもの

数日前、母と電話した時のこと。

会話のごくごく一部で

「ママなら自分が実家を離れて暮らしてても、月に一度は絶対に帰って様子見るけどね」と言われました。

要は、私が「実家に帰らなさすぎる」ということです。

ズキリ。心に言葉のナイフが刺さる音がしました。

 

私が前回帰ったのは、9月半ば。その前は、7月頭。

事実、三人姉妹の中で、私が一番帰る頻度が少ないんです。

仕事の関係で帰れない月もあるし…

会いたい人もやりたいことも山ほどあるし…

いやいや、母が言いたいのは、「そういう中でもママだったら帰る」ということか。

ぐるぐる、ぐるぐると。いろんな気持ちが心の声になって頭の中を漂います。

親不孝でしょうね。

でも、親の気遣いが窮屈に感じることや、親の言葉を気にする自分、親がいると出来ないこと、娘にだっていろいろとあるんです。

言いたいことはたくさんあったけれど、みんな呑み込んで、母の言葉を聞かなかったことにしました。

 

今日、双子の妹とLINEしました。

「この前さぁ、ママに、実家に帰る頻度が少ないって言われちゃった」と言うと、

「私も言われたことあるよ」と。

そして続けて言うのでした。「突然娘たちが旅立っていっちゃうから、心の整理が追いつかないんだろうね」。

というのも、明日は、妹の結婚式なのです。

そして私は最近、彼を実家に呼ぶための打ち合わせを、母と電話でしていたんです。

 

一昨日できた心の傷が、ふっと軽くなった感じがしました。

なぁんだ。母は、寂しかっただけなんだ。

私を批判したいわけでも、私の行動を改めさせたいわけでもなく。寂しかっただけなんだ。

 

最近、母と電話する度に、1時間以上かかります。

残業の多い部署に居る私。

仕事の他にやっていることもあるので、長電話は結構睡眠時間に響きます。

決め事だけ話して早く寝たいなというのが本音でした。

そうか。電話が長いのも、私と話しながら心の整理をしていたのかもしれないな。

そりゃそうか。寂しいよなあ。

 

25歳の私の周りは、特に女の子の友達を中心に、

婚約や入籍や妊娠や出産…人生の大きな転換点にいる人が何人もいます。

友達としても実感が湧かないくらいなのに、親となれば、心の整理がつかなくなるのも当然のことだと思います。

 

子どもの立場からしてみれば、案外親が近くにいなくても何とかなるものです。

姉や妹、彼氏、友人、職場の先輩方、いろんな人が私を支えてくれています。留学中だって、ルームメイトがスペイン人だったけれど、仲良く暮らせたのです。仕事もお金もあるし、ひと通りの家事も出来るし、自分の心の癒し方もなんとなくわかります。

親の前でこんなこと言ったら「まだまだよ」と言われちゃうかもしれませんが。

でも、成長と共にいろんな心の拠り所を見つけてきたんです。

 

親にとっては、嬉しくも寂しいことでしょう。

これまで、父も母も、子どもの私に言わなかったことがたくさんあると思います。

敢えて言わなかったことも、言えなかったことも。

私への愛がどれほど深く、私の存在がどれほど大きく、そして私に何度励まされ、傷つけられ、心動かされ、悩まされてきたのかを。

今になって私は、親の気持ちも、親自身のことも、よく分かってなかったな、分かろうともしていなかったな、と気づくのでした。

 

これからも私は、いつまで経っても「分からずや」だと思います。

親を知ることは、親を幸せにすることは、すごく難しい。

だけど、親を知ろうとする、親を幸せにしようとする、そんな娘で居たいです。

 

明日の妹の結婚式、楽しみだな。

素敵な日になりますように。