寒いけどあたたかい

寒さが本格化してきました。

たとえば、これを書いている夜中の今は、気温-24℃。

金曜日に雪が降り、金土とほとんど家から出なかったのですが、

日曜日の昨日、卵を切らして、お買い物に行きました。

 

その前に外に出た木曜日までは、最低気温も-5℃程度。

寒いけど、普通に暮らせる寒さです。

 

土曜日から一気に極寒の世界となりました。

暖かな室内にいる私たちにとって、-20℃以下は初めての世界。

風もあって、スマホのお天気の情報には、体感温度は-32℃と書いてありました。

 

車のスリップも、寒さも、怖い。

けれど、この寒さは1週間続きそうなので、意を決して娘と2人で買い物に行きました。

(日曜日でしたが、夫は会社の用事で不在でした)

 

近くの大型スーパーは、意外と車がたくさん駐まっていました。

娘のことを考えると、少しでも入り口に近いところに駐車したかったのですが、

やむなく少し歩くことになってしまいました。

 

ほんの数分歩くだけでも、露出した肌が痛いくらい。

娘をなるべく密着させたら泣かせてしまい、そんなに息を吸い込んで、娘の肺は大丈夫かなと心配になりました。

 

スーパーの中に入ると、野菜や乳製品など品薄でした。何を売っていたのかわからない空っぽの棚がたくさん。

いつもより寂しい食卓を想像して、少し怖い気持ちになりました。

そこで家でなるべく豊かな気持ちで暮らせるように、予定より多めに買い込みました。

でも、遠い車まで運べるように、車への積み下ろしがすぐ済むように、卵2パック含めて両手で持てるくらい。

大きな買い物もしたかったけれど、娘を抱っこしている私にはできませんでした。

 

寒いって怖い。寒いって危険。

また車まで娘を泣かせたら心配だな。

滑らないように気をつけないと。

いろいろ考えながら意を決してスーパーの外へ出ると、たまたま居た男の人が「Can I help you? 買い物袋、車まで運ぶよ!」と声をかけてくれました(*_*)

 

「でも車遠くて…」と話しても

「My pleasure! 僕も小さい子がいるから大変さがよくわかるよ。手伝わせて」とスタスタ一緒に歩いてくれました。

この前の秋に日本からこちらへ来て、初めての冬であることを打ち明けながら。

気づいたら、行きは「遠いな」と感じていた車のところまでもう着いていて、娘も泣かずにニコニコしていました。

 

初めての極寒の世界、

まだ細かな指示のわからない小さな娘、

数分とはいえ初めて運転する雪道に、

意外と埋まっている駐車場、

娘の泣き声、

そして、意外と空っぽの店内。

厳しい環境でなんとか娘を守らないとと思っていた私には、

芯まで沁みる思いやりでした。

 

お礼を言ってエンジンをかけると、娘はケラケラご機嫌に笑っています。

初めて経験する寒さに雪道に、

私は怯えていたけれど

生まれて2年弱、普段から初めてのことだらけの娘は

なんてことなさそうで、全然深刻そうでもなくて

弱かったのは娘ではなくて私かもしれないと思いました。

 

男性から元気をもらって

予定通り、もう1軒、一番よく行くスーパーにも行くことに。

(それまでは、あまりの厳しさに1軒だけで帰ろうと思っていました)

そちらではお店の近くに駐められて、お店の中もいつも通りモノがたくさんあって、普段通りのお買い物ができました。

 

その男性が居なかったら。

娘は車までの帰り道できっとまた泣いたでしょうし

2軒目のスーパーには行けず、

そちらでは在庫が充分あることも知らず、

「明日からの買い物どうしよう」「外に出るの怖い」と思っていたと思います。

 

その男性が居たから、

帰り道は真っ白な視界に、凍った木々に、

うっとり感動しながら帰る余裕が生まれたのでした。

 

名前を知らない男性へ、

昨日、娘に優しい声掛けができて

「卵買えたよ」と夫を安心させられて

幸せに1日を終えられたのは、

みんなあなたのおかげです。

こちらでは当たり前の優しさ、だけど、

日本で子育てをしたことのある人なら痛感するであろう、

決して当たり前ではない優しさ。

極寒の中、手を差し伸べてくださって、本当にありがとうございました。

 

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