一年目の本

あと少しで、社内での「新人さん」としての一年が終わりを迎えます。

いろいろな変化に戸惑った時、長時間電車に揺られた通勤時間、本が相手をしてくれました。

一年目の間に読んだ本は、(たぶん)83冊。

全ての本に感謝の意を込めつつ、特に印象的だったものを5冊ピックアップしてシェアします。

 

・『東京貧困女子』

格差社会と学歴って、強い結びつきがあるように思いませんか。良い大学を出ていると、良い就職先につける。しかしそこには男女の差もまた存在しています。この本は、高学歴の女性たちの貧困を描いています。風俗で働くのを辞められない大学生、それは学費を稼ぐため。彼女たちを「淫らな子」と思い込むお客さん(中年男性)との時代錯誤なやりとりも心に残ります。

 

・『キネマの神様』

小説です。志村けんさんが映画の主役を降りたことでも有名かもしれません。だらしないけれど、好きなこと(=映画)をこよなく愛するお父さん。そのお父さんが生き生きと文を書く様が印象的です。原田マハさんの小説は、ほかに『楽園のカンヴァス』『ジヴェルニーの食卓』を読みましたが、どれも芸術の美しさとそれに魅了される登場人物の高揚感を表現した素敵なお話ばかりだなと思います。

 

・『スローシティ 世界の均質化と闘うイタリアの小さな町』

山と大都会の間をドライブする時に感じる、「どこかで見たことある景色だな」という感覚。目指す街づくりは日本全国同じように思えます。

しかし、その地域にしか無いものもまた、たくさんあります。神社、田園風景、各地の気候に根差した家や食べ物など。無いものを求めて均質化していくのではなく、あるものを探して大切に守っていく。そうすればその地域の色を出した街ができるはずです。街づくりに興味のある方におすすめです。

 

・『こんな夜更けにバナナかよ』

映画化されたことは知っていましたが、内容を全く知らずに読みました。障害のある人って、どうも聖人化されがちなところがあります。障害者だってわがままに生きたい(夜中にバナナ食べたくもなる)、ボランティアに対して怒りたくもなる、性欲もある、死ぬのが怖い。ボランティアは果たして「偉い」行為なのか、そもそも生きたいという思いはどこから湧くのか、ポップなやりとりを通して深く考えさせられる一冊です。

 

・『愛着障害 子ども時代を引きずる人々』

「人と深く関わることを恐れる人」「恋愛に執着しすぎる人」、会ったことありませんか。もしかしたら私にも、そんな側面があるかもしれません。

愛着の持ち方は、大抵育ってきた環境に「無償の愛」と感じられる愛情がどれだけあったかに影響されるようですが、その後、恋人や友人によって克服されることもあります。また、愛着障害のある人だからこそ、寄り添える人がいます。

人との関わり方を振り返りながらじっくり読みました。自分や身近な人に心当たりのある方にオススメです。